第5回 「北海道の新しいサケ管理」提言のための自由討論

2020年10月23日(金)18:30〜21:00

zoomミーティングシステムを介して開催しました。参加者20人。


平田剛士「これまでのふりかえりと今後のプラン」

ひらた・つよし フリーランス記者、カムイチェㇷ゚・プロジェクト企画者


きょうは、みんなで今後のご相談をしたいと思っています。先週月曜、何人かの方に呼びかけてzoomで準備会をやったんですけど、私ちょっと暴走してしまって、「あれもこれも」と盛り込んだら、「それはやりすぎ」といわれたりして、非常に有意義な集まりでした。これからそれをご説明して、みなさんにもいろいろアドバイスをいただいて、先に進めていきたいと思っています。もう一度画面共有をして……。

北海道の新しいサケ管理

今後のスケジュールですが……1番目として、この会の目標である「北海道の新しいサケ管理」の提案をまとめましょう。その提案ができたら、それを解説するパンフレットを出しましょう。これは印刷してだれでもみれるようにします。そのパンフレットは薄っぺらいものなので、3番目として、提案にいたるまでのこの研究会の議事録とか、関連資料をいつでも参照できるように、ウェブサイトに公開したらどうかと思っています。

この1~3は今までもみなさんにお話ししてきたんですけど、4番目5番目はさっき思いついた提案です。せっかく提案をまとめますので、発表会を開いてそれを世間に伝え、できれば合意をいただいて、なんとか実現への道をつけたいと思います。また、いつまでもダラダラやるのも締まりがないので、この研究会は年度末には解散して、次どうするかはまた相談して、リスタートするという案です。


(小泉雅弘:さっぽろ自由学校「遊」、企画者)
もともとこの公開研究会は、今年9月で一区切りをつけて、その成果をまとめるというふうに考えていましたが、研究会自体を12月まで延ばしたので、(スライドには)「年末にパンフレット出版」と書いてありますけど、年度末くらいまで、のイメージで考えても良いんじゃないかな、と思います。だけどダラダラしてると遅くなるので、3月を区切りにしたいなと思っています。発表会とかも、どういうふうにやるかによりますけど、やろうと思えばできるかな、と思います。


(平田剛士)
ありがとうございます。先に私のアイディアをぱぱっと出しますので、それからディスカッションしましょう。まず、これからわれわれが提案する「北海道の新しいサケ管理」の目標案がこれです。

北海道の新しいサケ管理

先週のミニ会議では、1と2だけでいいんじゃない? という話もあったんですが、もうひとつやっぱり漁業のことは書いたほうがいいかなと思って、3を付け加えています。

この新しい管理法は何に拠って立つのかというがこちらです。

北海道の新しいサケ管理

生物多様性条約(CBD、1993年)、先住民族の権利に関する国際連合宣言(UNDRIP、2007年)、持続可能な開発目標2030アジェンダ(SDGs、2015年)。植民地主義的な歴史そのもの、先進諸国の先住権事例、サケ沿岸漁獲データなど。

国際条約・宣言・目標に加えて、この研究会でこれまで詳しくご報告いただいた先住民族の権利に関わる歴史そのもの、また先進諸国の先住権事例も参考になると思いますし、研究機関がずーっと集めてきて、これからも集め続けられるだろう沿岸漁業の科学的データを根拠にして、この新しいサケ管理をつくっていく、ということです。ほかにもあると思いますので、それは後ほど……。

ではその「新しいサケ管理」の姿はどんなものか。これが一番大事なことだし、みなさんにどう理解していただくか、ということだと思います。これまでの研究会の報告の中でもちらちら出てきましたが、書き出してみました。

北海道の新しいサケ管理

地元のアイヌ集団を中心にした川サケ保護管理体制を構築する。研究機関による技術的サポート、沿岸漁業者・サケ増殖機関などとの協働を実現する。効果を判定し、翌シーズンに反映させる(フィードバック管理)。

ちなみにこちらは「旧来のサケ管理の姿」です。公益社団法人北海道さけ・ます増殖事業協会のホームページに出ているイラストですが、たぶん分かりやすくしようとこういう絵をお描きになったと思うんですけど、私は、一目見ただけではまったく分かりませんでした。もしかしたらこういうイラストをわれわれのパンフレットにも載せなきゃいけないのかもしれません。

北海道の新しいサケ管理

自分でいっておいてアレですが、さきほど「地元のアイヌ集団が中心になって……」と書きましたけど、ラポロアイヌネイションなんかはむしろ例外的に元気、と言っていいと思うんです。野口さんもちょっと話してくださいましたが、(同じグループ内でも)いろんな考えの方がおられるし、意欲、サケとの関わりも多様です。私の住んでいる滝川のように、アイヌはおられるけどアイヌ協会がない、というところも多いですし、紋別アイヌ協会のように、畠山さんががんばってらっしゃいますが、「来年はどうしようか」というくらい苦しい状況のところもあります。それをどうサポートしていけるかが課題だと思います。むしろ、「新しいサケ管理」を導入することで、地元のアイヌ集団はもとより、川のそばの住民たちが、ここに住みたくなるとかここで働きやすいネとか、そういうものにしていかないと、みんなで「やろうやろう」というふうにならないかな、と思って書きました。財源をどうするか、世論の共感を得ることも難しい課題だと思います。

北海道の新しいサケ管理

これまでの研究会でちらちらご提案いただいてきたことです。モベツ川は紋別アイヌ協会の地元、十勝川河口部はラポロアイヌネイションの地元です。また石狩川上流部は、いまはサケ遡上数は少ないですけど、なんとか復元しようと、アイヌの方たちも含めて頑張っていらっしゃる場所。そういったところで具体的にイメージしながら「こういうことができるんじゃないか?」というのをシミュレーションしてみて、発表会なんかで提示して、ああでもないこうでもないとブラシュアップしていく、それを政策提言に盛り込んでいく。そしてどこかモデル地域でやってみる。アイヌ施策推進法は、アイヌ文化の振興を名目に地元で決めたプログラムに対して、国がけっこうな額の交付金を出すという仕組みの法律ですから、それを利用してモデル地域でやってみて、軌道に乗れば独立できるかも知れない、というものです。

すみません、また脳内で暴走している感じなんですけど、いまからみなさんの議論をいただければと思います。