「21世紀は環境の世紀」と言われる.河川法の改正や自然再生推進法の成立に代表されるように, 行政や立法機関も過去に損なわれた自然環境を取り戻すべく方向転換を始めた. 改修工事で直線化した川を再び蛇行させる試みや, 野生動物と人間の共存のためのワイルドライフマネジメントなど, 保全と復元を目指し全国各地で芽生えつつある活動を追い,成果や課題を描き出す.(地人書館ウェブサイトから)
【目次】
はじめに
ルポ1◆海鳥を大量死させているのはだれ?
〜 水産大国ニッポンが抱える混獲問題
オロロン鳥を見にいく
「潜水追尾型」が狙われる
潜水艦まで一網打尽
隠蔽体質を払拭するには
ルポ2◆ジュゴンは軍隊と共存できない
〜 基地建設に揺れる「北限の生息地」
基地の眼前に「北限の生息地」
なぜ沖縄のジュゴンを守るのか
軍事空港が生息地を直撃
ルポ3◆あなたもなれる! カヤネズミ調査員
〜 生物多様性保全のための環境教育とは?
宙に浮かぶ巣
どこが環境に優しいの?
ルポ4◆古代湖を侵入種から守る
〜 バス・ギル駆除と再放流禁止条例
侵入種たち
侵入種再放流禁止条例
求められる「効果」
ルポ5◆五〇年前の川を取り戻せ
〜 自然再生技術の確立をめざす
蛇行復元実験の現場へ
自然再生技術の確立をめざす
イトウ「復活」はなるか
ルポ6◆ディアハンターは鹿を絶やさない
〜 野生動物保護管理(ワイルドライフ・マネジメント)の成果と課題
狩猟者が担う保護管理制度
シカ個体数をなぜ下げる?
「有効活用」に向けて
ルポ7◆クワガタムシ・カブトムシ輸入超大国ニッポン
〜 在来種に迫る「遺伝子汚染」危機
農水省が輸入を「解禁」
在来種の遺伝子が「汚染」される
希少種絶滅に向けてとどめの一押し
ルポ8◆猛獣マネジメントいたします
〜 自己防衛と春期捕獲に託すクマとの共存
ヒグマ五五二頭、ヒト五三万人
ヒグマ対策マニュアル
害獣か保護獣か
専守防衛? それとも先制攻撃?
鍵は雄グマの捕獲数
キムンカムイ
ルポ9◆「オミヤゲ盗掘」から高山植物を守る
〜 入山規制が拓く「花の山」との新しいつき合い方
石灰岩植物の山
年間九〇人限りの学習登山
現れ出した成果
ルポ10◆移入種大国から環境立国へ
〜 目標は「持続可能な利用」
キーウィを探しにゆく
侵入種が追いつめた「飛べない鳥」
終わりのない戦い
キーワードは「サステイナブル」
移入種としての鱒をどうみるか
サステイナブルな社会を目指す技術
あとがき |