名前で読み解く 日本いきもの小百科

名前で読み解く日本いきもの小百科

平田剛士=著
平凡社新書(2012年)
800円+税


各地の動植物の名前の由来を尋ねながら、それぞれの生態やヒトとの関わりについて短いエッセーをつむぐ。開かれる扉の先には列島の生命世界の、いつだって大きな感動をもたらしてくれる姿がひろがる。(管啓次郎氏/「読売新聞」2012年10月7日)全文


生き物の名前の由来をたどることで、あまり知られていなかった生態や、人間とのつきあい、外来種の侵略にさらされる今の状況が伝わってくる。(「毎日新聞」2012年10月16日夕「読書日和」欄)


これは、先人たちが自然を見つめてきた視線を再現する試みとも言えるだろう。……時間を越えた「生きもの日本紀行」に連れて行ってくれる一冊である。(山本智子氏 鹿児島大学水産学部准教授/「南日本新聞」2012年10月28日「BOOKS」欄)


本書を貫くのは、名前は「命名者と対象物との関係性を封じ込めたカプセル」という視点だ。野生動物や環境問題について多くの著作を発表している著者が、人と野生動物のあるべき関係を探る中で、過去を知る必要性を感じ、さかのぼるうちに行き着いたのが生き物の名前だという。(島田明英氏 自然ウオッチングセンター代表/「北海道新聞」2012年11月11日「ほん」欄)


アイヌ民族の生活誌、世界観にも紙幅を割いており、人と自然のつながりを重層的に理解できる良書だ。(小坂洋右氏 北海道新聞論説委員/「日本記者クラブ会報」2012年12月10日第514号「地讃地読」欄)


本書を読み通して感じたのは、遠い昔、生きものと人間の結びつきは現代よりずっと深く良好なものであったらしいということ。懐古主義や安易な文明批判は避けるべきだが、地域性や時代性も反映した名前の一つ一つに学べることは多いはずだ。(中島哲也氏/「faura」38号「ファウラライブラリー」欄)